夏場の子供たちのヒーロー、カブトムシ。昆虫の中ではクワガタと共にいつの時代も愛されている存在です。
その人気は、かっこいい角とガッシリとした身体、そして自身の体重の何倍もあるものを持ち上げるその力強さにあると言えます。
オオクワガタとは異なり、初心者でも野外採集が比較的容易なため、小学生の夏休みの自由研究にも最適な昆虫だと思います。
ここでは、そんなカブトムシの飼い方を、ぼくの経験を元に語ってみたいと思います。
カブトムシの成虫飼育は、極端な話をすると、乾燥を防いで成虫が隠れる場所と餌さえあれば特別注意すべきことはありません。
【用意するもの】
①生体
②飼育ケース
③マット
④餌
⑤成虫の隠れ場所
⑥キッチンペーパーや新聞紙
⑦家族の同意
①生体
これを飼うためなので、これがいないと始まらない(笑)
昆虫ショップ、ホームセンター、ネットショップ、オークションなど、今では簡単に購入できます。もちろん天然の個体を採集しても良いですが、夜行性のため、大人と下調べをして一緒に行動しなければなりません。
だいたい500円ぐらいでオス・メスのペアを購入することできます。
基本的にオス・メスのペアで飼育することをオススメします。飼育ケースの大きさ次第ですが、メスは複数頭一緒でもOKです。但し、オスは1頭にしておいて下さい。オス同士は必ずケンカをします。死に至る場合もありますが、それを免れたとしても、身体中に小さな穴がたくさんできてしまいます。寿命が縮まりますし、第一に傷だらけではかわいそうなので、1つのケースに必ずオスは1頭にしておいて下さい。
※当HPではオスも複数頭一緒にしている写真がありますが、それらは写真掲載用であって、普段はオスは1頭しか入れておりません。
②飼育ケース
虫カゴは推奨しません。通気が良すぎるのですぐに乾燥してしまいますし、値段が高いです。
100均のケースで充分です。しっかりとフタが閉まるプラスティック等のケースであれば何でもOKです。当然、密封はNGです。
100均のケースは本当にたくさんあるため、好きなものを選んでOKです。観察を楽しみたいのであればガラスや透明のケース、安全性や軽さを考えればプラスティックのケースでしょうか。どちらにしても、空気穴が開けられそうな蓋のものを選んで下さい。
ぼくはアイスピックの先をコンロの火で高温にし、蓋を溶かして小さな空気穴を5~8つほど開けておきます。
※これぐれも火の取り扱いにはご注意下さい!!
ぼくの場合は、義母が建設業をしているので、業務で出たヒノキを細かくしたもの(写真参照)を譲り受けて使用しています。
いずれにしても、ケースに2~3cmの深さぐらい入れてあげて下さい。
④餌
市販の昆虫ゼリーでOKです。少しでも長生きしてもらうなら、ホームセンターやスーパーで安く買えるものだけでなく、少し高めで売っているゼリーも与えて下さい。バナナ等の果物やヨーグルトも良いですが、すぐに腐るので不衛生です。
ぼくの場合は、カブトムシ成虫1頭に対して写真のゼリー(17gワイド)を2個与えています(カッターナイフで十字に切れ目を入れて)。ゼリーがほとんど無くなったと感じたら交換しています。だいたい3日に1回ぐらいのペースで交換していますが、時期や個体にも因ります。
⑤成虫の隠れ場所
カブトムシも天敵から身を守るため、本能的にすぐに隠れようとします。写真のように、木の皮を剥いだようなものをマットの上に置いてあげて下さい。なくても死にはしませんが、ストレス回避や転倒した時のためにも入れてあげて下さい。カブトムシは夜間に行動するので、気が付いたら仰向けで力尽きて死んでいた・・・なんてことにならないようにして下さい。
↓こういうことにならないように木片を入れてあげましょう。
⑥キッチンペーパーや新聞紙
ケースとフタの間に挟み込んで下さい。コバエの侵入防止と乾燥防止に非常に役立ちます。これが一番重要です。なぜなら、コバエはマットに卵を産み、とてつもない早さで繁殖します。そうなると、飼育についての家族の同意はもう絶対に得られません。清潔に飼育をするための必需品と言えます。
キッチンペーパーを挟み込む場合、だいたい2層になっているので、私は1層分のみ飼育ケースと蓋の間に挟み込んでいます。酸素がよく通り経済的(笑)、かつコバエなどの侵入を防ぐことができます。
⑦家族の同意
重要項目です。家族、特に奥さんやお母さん、お姉さん、妹さん、ただでさえ嫌いな人が多い昆虫です。コバエが家中を舞ったり餌が腐って不衛生となるなら、絶対に許可してくれません。そのためにも、飼育はきちんと衛生的に行われることを説明し、そして実践しましょう。上記の④餌と⑥キッチンペーパーや新聞紙は大切です!!!
カブトムシの成虫をペアで飼育し、メスに卵を産ませて幼虫を採る方法です。上記と基本的には同じですが、マットの量を増やす必要があります。
ちなみに、下記はカブトムシの交尾です。ブリードのため、2ペアを同時に交尾させました。
「1.成虫のみを飼育する」で準備したケースよりも大きなケースを用意します。ぼくは大ケース以上の大きさがあるものを使用しますが、リンクの商品は高いので買いません。ホームセンターで売っている、安価な衣装ケースで代用しています。
オスとメスを一緒に入れます(♂1♀1がベスト)が、マットの量をケースの7~8割程度入れる必要があります(下図のようなイメージです)。その際、底の3cmほどはギュッと圧して、残りはフワッと敷いて下さい。
オオクワガタと異なり、カブトムシのメスはマットそのものに産卵します。
※カブトムシに産卵させる場合のマットは、必ず広葉樹マットを使用します。
※ケースが小さ過ぎると7~8割程度入れても深さが足りない場合がありますので、少し大きめのケースをご用意下さい。
産卵セットを組んで数日後、ケースの底や側面に卵が見えるようになりますので、オスは取り出し、メスに引き続き産卵に集中してもらいます。2~3週間で幼虫が確認できるようになるでしょう。
ケースをひっくり返してみると、1頭のメスから30~40頭ほどの幼虫(卵も含む)を得ることができるはずです。
(次の最後の写真で判る通り、卵よりも一回り大きな“卵室”と呼ばれる部屋の中に卵は産み付けられています。非常に綺麗な空洞で、いつも自然のすごさ・本能のすごさを感じさせられます。)
これを2~3回繰り返すことで、1♀から100頭ほどの幼虫が採れれば大成功です。(ちなみに、当方の2019年は、1♀から200以上の幼虫が採れました!)
ケースをひっくり返すのは晴れの日に家の外でしましょう!
但し、真夏は直射日光で幼虫が弱ったりしてしまうので、卵や幼虫は速やかにケースへ移して室内へ入れましょう。
それぞれの卵は産卵された日が異なりますので、採卵後は数日で順番に孵化し始めます(無精卵だったり生命力が弱いものは腐ってしまいます)。下記に掲載した左の写真は後々無事に孵化した卵、右は後々腐ってしまった卵です。
ぼくの携帯カメラが非常に画質が悪く、写真では判りづらいのですが、右の卵は結構黒ずんでおりました。健康な卵は綺麗な白だったり黄色だったりします。孵化直前は、幼虫の身体や頭が透けて見えます。
当方の2019年は、1♀から200もの幼虫を採ることができました。
写真はその時の2回目の産卵セットから得た幼虫(および卵)の数です。この前後でも同じ♀で産卵セットを組んでおりました。
(3頭を足して計100頭の幼虫を、はしもと里山学校様に寄付致しました。)
個体の生命力にも起因しているかと思われますが、特製マットが結果をさらに良くしたと考えております。
当方の特製マットとは、特別なものでは決して無いのですが、下記3つをブレンドしたマットです。
■自作の発酵マットでオオクワガタの幼虫を飼育した後の廃マット (オオクワガタの糞入り)
■オオクワガタを飼育していた菌糸ビンの廃菌糸(オオクワガタの糞入り)
■国産カブトムシの幼虫を飼育していた廃マット(国産カブトムシの糞入り)
カブトムシの糞も混じっていることから、♀の産卵意欲をかきたてたのかもしれません。
※絶対的な順守事項※
一度飼育した昆虫は絶対に自然に放つことはせず(国産・外国産に拘わらず!)、天寿を全うするまで責任を持って育てて下さい。もしくは、里親を探して下さい。放虫は法律に抵触します。