※国産カブトムシは“縦”に蛹になるため、これから紹介する人工蛹室は利用できません。縦の人工蛹室の作り方は、次の「2.」へお進み下さい。
まず、人工蛹室が必要になるパタンを列挙してみます。
(1)幼虫が蛹室を上手く作れず、マットの表面で前蛹になってしまった(写真参照)。
(2)蛹室が菌糸に侵されてしまった。
(3)ケースの底で蛹室を作ってしまった(これについては、ぼくはあまり気にしておりません)。
(4)誤って蛹室を壊してしまった。
等々、その他にも色々なシーンで人工蛹室は大活躍します。羽化不全防止にもなります。
次の写真は(2)のパタンですね。
前蛹であろうが蛹であろうが、人工蛹室を必要とする場合は100均で「園芸用オアシス」を購入します。
ちなみに、ぼくが使用しているのは、『Watts』で購入した、【11cm×15cm×7.8cm】のオアシスです。
美術の成績がかなり悪かったぼくでも作れているので、頑張って下さい!
まずは大きな1個のオアシスを、鉄製の平たいヘラか何かで、下記写真に入れた赤線に沿って半分にカットします。
さらに、その半分にカットしたオアシスを、またまた写真の赤線に沿ってそれぞれ三等分にします。
縦長のオアシスが6本できました。この6本を全て同じ方法で人工蛹室にしていきます。対象となる個体の大きさに合わせて目安を測り、削って行きます。今回はオオクワガタの♀に合わせて作成して行きたいと思います。
※この方法でオオクワガタの♂用の人工蛹室はギリギリ作成できますが、80mmを越えるような個体の蛹室は、もう少し大きくカットしたオアシスから作成する必要があります。
対象となる個体の縦横それぞれ1.3~1.4倍程度のスペースを作り、楕円形に削り取っていきます。
上掲写真のように、「だいたい良い大きさになったかな?」と思ったら、加水し、指の「腹」でなでるように整形していきます。水分を充分に含んだオアシスは、本当にツルツルに整形することができます。
形が整ったら、蛹を入れて完成です。楕円形の狭い方を頭に、広い方をお尻にして置いてあげて下さい。
横から見た感じ(深さ)は左の写真のように、「蛹がすっぽり納まる」程度で良いと思います。後は羽化を待つのみです。
数頭が集まれば圧巻です!!
そして個体管理も重要です。
個体の管理情報はきちんと把握しておきましょう!
人工蛹室で羽化したクワガタを、倍速の動画にてご紹介します↓
縦に蛹室を作る種でメジャーなのは、国産のカブトムシです。国産カブトムシは縦に蛹室を作る数少ないクワカブと言えます。人工蛹室が必要となるパタンですが、「1.」に加えて以下も列挙しておきます。
(5)蛹室は作ったが傾斜がきつく今にも横になりそうな態勢になっている。
(6)カブトムシ採りで天然の蛹を堀り出してしまった場合。
次の写真は、(6)のパタンです。責任を持って羽化させます(笑)
(一緒に映り込んでいるノコギリクワガタは関係ありません)
縦に蛹室を作る種の人工蛹室で最も簡単な、トイレットペーパーの芯を利用した方法をご紹介します。
まず、蛹の背丈に合わせて(蛹の背丈の1.5倍程度)トイレットペーパーの芯を切ります。
別途、800ml程度のケースを用意し、マットを敷き詰めます。と言いましても、ケースの1割程度でOKです。但し、マットはできるだけ圧しておいて下さい。
トイレットペーパーの芯をケースに入れたマットに差し込みます。芯の外周のみにマットを敷き詰め、擂り粉木等で圧迫して固めます。
準備ができたら、人工蛹室に対象の蛹を入れて完了です。
蛹を傷付けないように細心の注意を払って下さい!!
素手でも余計な力が入る心配がある場合、大きめのスプーン等を使用して蛹を優しく取り扱ってあげて下さい。
ケースを傾けながら底まで下ろしてあげるなど、充分に配慮して下さい。
衝撃は厳禁です。
最後は、湿度を保つために、蓋をしておきましょう。
※必須ではありませんが、乾燥しているようでしたら、 霧吹き等で加水してあげて下さい。
人工蛹室で羽化した国産カブトムシを、倍速の動画にてご紹介します。トイレットペーパーの芯が短くて出そうになってしまっていますが・・・。
ここでご紹介した人工蛹室以外にも、市販のものもありますし、もっと精巧なものもあるかと思います。自然に彼らが作る蛹室に近しいものを研究してみて下さい。即席のものでも、きちんと羽化さえしてくれればそれで良いですが、羽化不全の確率が低いに越したことはありません。